大判例

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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)8443号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告鈴木昌昭の父鈴木邦介は昭和三六年一月二〇日午前零時二〇分ころ国電五反田駅前付近からタクシーに乗車し、同所から多摩川大橋方面に向け中原街道を進行し品川区平塚七丁目一八九一番地先路上にさしかかつた時、反対方向から進行してきた被告中島晃の運転する被告東武建材株式会社所有のダンプカーが道路中央のセンターラインを超えて進行して右乗用車に正面衝突したため鈴本邦介は重傷を負い、間もなく死亡した。本件事故発生当時被告東武建材の運転手である被告草野は正規の手続を経由して本件ダンプカーを被告東武建材から持出して運行していたものであるから、右運行が業務上のものであると私用のためであるとを問わず、被告草野の右運行は本件ダンプカーの所有者である被告東武建材のためにする運行ということができるから、被告東武建材は自賠法により損害賠償責任がある、と主張した。

被告東武建材は自賠法第三条の責任を否認しつぎのとおり述べた。被告東武建材は業務終了後のダンプカーは車庫に格納して業平橋ホツパーに格納して車の鍵はホツパー事務所の詰所に、詰所の鍵は東武鉄道の守衛所にそれぞれ厳重に保管してダンプカー無断使用を防止していたところ、被告草野は事故の前日勤務時間外にもかかわらず守衛所からホツパー事務所の鍵を持出してダンプカーを持出し私用のため被告中島宅に赴いて帰途本件事故が発生した。被告東武建材はダンプカーの保管・管理を十分尽したものというべきであるから被告草野の無断運転は被告会社のためにする運行とはいえないと抗争した。

判決は本件ダンプカーの保管状況が必ずしも良好でなく、本件事故当日も被告草野は守衛にとがめられることなくダンプカーを持出した事実を認定した上、同被告会社に自動車所有者として管理上の過失ありとして運転者の無断使用の場合においても自賠法第三条にいう自己のためにする自動車の運行にあたると判示して同会社に損害賠償責任を認め、つぎのとおり説明している。曰く。

「自動車損害賠償保障法第三条にいう自己のためにする自動車の運行とは、自動車所有者の意思に基きその業務のためにすると私用のためにするとを問わず自動車所有の目的に供せられる運行をいうのみならず、自動車所有者の管理上の過失によりそれが自己の使用する運転車の無断私用に供せられた場合もまた自己の意思に基くものに準じてこれを含むものと考えるのが相当であるところ、右認定事実によれば、被告東武建材においてはその所有ダンプカーの保管は全体としてきわめて形式的なものであつて現実にはその従業員はいつでも容易にダンプカーを持出し得る状態にあり、本件においても運転者であつた被告草野は簡単に本件ダンプカーを持出しているのであつて、これはひつきよう被告東武建材の管理上の過失にもとずくものというべく、被告草野がする本件ダンプカーの運行は、結局被告東武建材が自己のためにする運行といわなければならない。」

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